ラインフローファンの洗浄 - エアコン分解洗浄

最終更新日: 作者:月寅次郎


ラインフローファンの洗浄

ファンの汚れを確認

ラインフローファンを洗浄する前に、汚れの状態を確認してみましょう。


こちらは、エアコンから外したラインフローファンです。

よく見ると、フィンの縁から汚れがはみ出しているのが判ります。
(白っぽく見える汚れが、それです)


別の拡大画像で見てみましょう。

ちなみにこの画像ですが、ライトを当てて撮影しています。
ラインフローファンの汚れは、外部からは見えにくく、このようにライトを当てて覗き込まないと汚れているのかどうかほとんど判りません。

見過ごされやすい部分ですが、エアコン洗浄の最も重要な部分でもあります。ここをしっかり洗浄しなければ、わざわざ作業する意味がありません。


ラインフローファンの汚れ
コンデンサーに付着する汚れと異なり、ラインフローファンの汚れはカビが多量に混ざっていることが特徴です。
(黒カビ特有の、独特の臭気がすることも多いです)

フィンの外側はあまり汚れないものですが、フィンの内側は非常に汚くなりがちです。

フィンの内側は、空気を押し出すための圧力をかけるため、空気中のホコリが付着しやすい部分です。
特に、吸気と排気の気温差が大きく、それによってフィンに結露が発生した場合は、水分が塵や埃をどんどん吸着していきます。

吸着された微粒子は、ファンの遠心力で徐々に外側に押し出されていき、端の部分までやってくると、行き場がなくなってめくれ上がります。

最終的に、この汚れは徐々に剥がれていき、エアコンの吹き出し風に混じって飛び出します。
(上の画像は、その飛び出す直前の状態と言ってよいでしょう)


ラインフローファンを徹底洗浄


取り外したラインフローファンは、風呂桶を洗い桶にして、ジャブジャブと洗浄します。

この工程が、クーラー洗浄における、最も重要な部分です。

これに比べると、放熱フィンの洗浄などはたいしたことではありません。

汚れの付着具合も軽いですし、洗浄も難しくありません。
もしもプロの業者さんにクーラー洗浄を任せた場合は、ラインフローファンがどれだけ綺麗になっているかを確認してください。

もしくは、ラインフローファンはどこまできれいになるのか、事前に確認を取って、清掃が完了した後の組み立てる前の状態で、見せてもらうように交渉しましょう。

この部分がキレイになっていないエアコン洗浄は、何の意味もありません

結構汚れがこびりついていると思いますので、しっかり洗浄してください。
クーラーに取り付けたままの状態で洗おうとしても、洗浄液をかけることしかできません(洗浄液がすぐに下に流れ落ちてしまいます)

一度取り外してしまえば、いくらでも「漬け置き洗浄」が可能になります。
プロの業者ですと、さっさと作業を完了させて速やかに撤収し、次の予約案件へと進む必要がありますが、個人DIYで行う場合は、一晩漬け置いても構わないわけです。

ファンをどのように洗浄するかは、汚れの程度にもよりますし、人それぞれで良いとも思いますが、筆者が実際にどのように洗浄したか、書いておきましょう。

用意するもの、洗浄用の道具

  • 食器用洗剤
  • カビキラー
  • 毛足の柔らかいブラシ
  • ゴム手袋

洗浄方法

  1. 風呂桶にファンを入れる
  2. 全体に水を掛け流し、簡単に落ちるホコリを洗い流す
  3. 食器用洗剤とブラシで、大まかに洗浄
  4. カビキラーを全体的にスプレー、ブラシでこすり洗い(風呂桶には栓をしておく)
  5. 風呂桶の底に溜まったカビキラー液をブラシに含ませ、さらに全体に塗布
  6. 少量の水を加え、風呂桶の底にカビキラーの薄め液を貯める
  7. ファンを転がすようにして回転させ、底のカビキラー液をすくってフィンの内側に行き渡らせる
  8. ファンの向きを逆にして、反対側でも液をすくってなじませる
  9. 中央は、液をすくった後に立てて置くと、泡状の洗剤液が下方に流れて馴染んでくれる
  10. 充分に馴染ませたら、汚れ具合に応じて10~30分程度放置
  11. シャワーをかけ、流水でよくすすいで終了 (汚れが落ちているか、目視でよく確認、落ちてない部分があれば、漬け置き洗を繰り返す)

ブラシとゴム手袋

ブラシは洗顔用のものを使っています。
洗顔用ブラシは毛足が柔らかく極細なので、細かい部分に追従しやすいです。
昔は当たり前のように売っていましたが、「洗顔用泡立てネット」が主流になってからは入手が難しくなりました。メガネを優しく洗うのに最適なブラシなので、筆者の手放せないブラシの一つです(好んで使っています)

また、ファンの羽根の凹面部分はブラシの先端が届きにくいです。
歯ブラシで洗っても構いませんが、表面部分しか洗えないと思います。
(ブラシの届かない部分もあると考えて作業に当たりましょう)

ブラシが届かなかったとしても、洗剤の漬け置きで汚れの固着を緩め、流水で流し落とせば、だいたいの汚れは落ちてくれます。
(カビにアレルギーがあるなどで、きっちり完全に汚れを落としたい場合は、カビキラーの漬け置き洗いを繰り返して下さい)

ゴム手袋は、長時間使っても蒸れない防水透湿素材の「テムレス」が推奨です。

使用する洗剤

食器用洗剤は、大まかな汚れ落とし用として使います。

先に予洗いすることで、後のカビキラーがしっかり効いてくれます。

カビキラーは一般の方が気軽に使える効果的な洗剤ですが、より強力に汚れを落としたい場合は「苛性ソーダ」を使うという手もあります。
油煙等の上がる環境で使用していたクーラーなどは、油汚れも加わってきます。そのような場合に効果的です。

「苛性ソーダ(水酸化ナトリウム)」は、薬局等で購入可能ですが、劇薬ですので身分証明と印鑑が必要です。
(業務用クーラーケースの冷却フィンの清掃等にもよく使われますが、取り扱いのイロハが判らない方は使ってはいけません)

なぜファンを外すのか、漬け置き洗いの有効性

ラインフローファンを眺めてみるとよく判りますが、湾曲した羽根が重なっているため、羽根の内側を洗浄するのが難しいです。

外側からいくら水圧をかけても、羽根が邪魔をして、内側まではほとんど水圧が届かないのです。

ですので、プロの業者が使用する高圧スプレー洗浄機でも、なかなか埒が明きません。なにしろ水が直接当たらないのですから、これはもう仕方ありません。

筆者は、「ファンを取り外し、予洗いの後に、漬け置き洗いする」という方法を推奨していますが、なぜそれがおすすめなのかは、取り外したファンをじっくり眺めてみれば実感できると思います。


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