電装系パーツの取り外し1
ほとんどのエアコンはそうですが、この機種の電装基板は右側にあります
ルーバーを動かして風向きを変えるためのモーターです。
中央右にある「バツ」の付いた素子は、リモコンの赤外線を受信するためのものですね。
電装系を右方向から見たところ。
基盤はこの黒い樹脂カバーの内側に隠れています。
ルーバー用モーターの2箇所の固定ネジを緩め、モーターを外しました。
モーターの自重をケーブルで支えるのは、断線等を招く恐れがありますので、気をつけて下さいね。
(画像撮影のため、暫定的にこの状態にしています)
電源ヒューズボックスの固定ネジを緩めます
ネジを抜くのは、電源ケーブルを抜いた後です。
黒・白・赤の3本は電源の線です。
(アース、プラス、マイナスで3本あります)
電気工事士の人にはおなじみの、太い単線の銅ケーブルで、知らない人にはどう外すのか、迷ってしまうところです。
これは、画像の白いバーの部分をグッと突いて押し込むと、固定が外れてケーブルを抜くことができます。
あくまでも固定がはずれるだけですので、勝手に抜けてくれるわけではありません。
上の画像のように、マイナスドライバー等を使って、白いバーを押し込めながら、線を引き抜きます。
(電源ラインは重要な線ですので、「何かの間違い」や、「子供が勝手に触った」、「何かを引っ掛けた」くらいのことでは絶対外れないくらいの強度で固定されています。
(銅単線に噛み込み跡が付く程度の強度です)
やったことのない人であれば、「ナニコレ?こんなに硬いの?」と思うかもしれませんが、そうです、そんなに硬いのです。
(ドライバーの先端を滑らせたりして、他のパーツを傷つけないように、丁寧に垂直にあてがうのがポイントです。真っ直ぐに当たっているのが確認できたら、ぐいっと力を入れて押し込みましょう。押してる間に線を抜くのも忘れずに)
※ 慣れてる人には何てことない作業ですので、解説不要かもしれませんが、初めての人にとっては戸惑いがちなポイントです。
固定ボルトを外し、上の箱をお仕上げます。
これで電装基板の下部分はフリーになりました。
まだ上の方には、コンデンサーのアース端子や冷媒温度を計測するプローブなどが残っています。
電装基盤の取り外し
ラインフローファンを洗浄液に漬け置きしている間に、電装基板を取り外します。
エアコンの右側上の方を、上から覗き込むようにして撮影しています。
ここでポイントとなるのは、2つのパーツです。
● コンデンサーにファストン端子(平型端子)で接続されているケーブル(青/黄色)。推測ですが、コンデンサーとアースを接続し、静電気を逃すためのケーブルだと思われます)
● オレンジ色のケーブルの先にある、冷媒温度の計測用プローブ(推測)
それぞれのケーブルは、半透明の結束バンドで、配管に固定されています。
この2つは、電装系と繋がっており、ここを外さなければ電装系も取り外せません。
結束バンドは切って外し、端子とプローブは、抜いて外します。
※ 温度プローブは判りやすいように、挿入した状態から引き出して撮影しています。
(実際には、管の中に収められています)
モーター側軸受(不要?)
モータ用ケーブル(不要?)
電装系の基盤カバーを外したところです。
右側に伸びる白色の並行線は、先端が電源プラグになっている「電源ケーブル」の根本です。
基盤にはいくつかのケーブル接続用カプラーが嵌められていますが、このうちブロアモーターに繋がっているものは、外す必要があります。
ブロアモーター本体を外すのは難しそうでしたので、モーター自体は室内機側に残し、カプラを外して基板側を分離させることにしました。
反対面から見た様子。
電源ケーブル(白の並行2本線)は、このような配置で固定されています。
途中一箇所が、わざと蛇行した配置になっていますが、このあたりは興味深いポイントです。
これは、電源ケーブルが強い力で引っ張られた場合に、電装基板に直接力が加わって、基盤や接続コネクタが破損しないように設けられているものです。
エアコンに限らず、他の家電製品でも時折見られる設計で、簡単には壊れないようにするための構造です。
電源ケーブルの末端部です。
電源ケーブル末端部の拡大画像。
この末端部は、どこに繋がっているかというと…。
先程外した、黒・白・赤の単線電源ケーブルに繋がるわけです。
この3色のカチカチに硬い電源ケーブルは何かというと、『エアコン室外機』の中にある、コンプレッサーや送風ファンを稼働させる電力を供給するためのものです。
エアコンは、室外機のコンプレッサーが最も電力を消費します。
コンプレッサーは、気体となった冷媒に圧力をかけ、液体に戻すために高圧をかけるための機械です。
一方、室内機の方は、風を送るためのブロアモーターと、送風口の位置を変える小型のモーター、後は制御用の電装基板を動かすくらいですので、大きな電力を消費するものではありません。
(そのため、室内機の基盤に繋がっている電源用のケーブルは、意外に細かったりします)
コネクターを引き抜いた様子です。
プラスとマイナスで端子が別々になっているのは、誤接続の防止のためと思われます。
電源コネクターを抜き、(先程の画像にあった)うねうねした電源線の固定を、一つ一つフックから外していくと、電源ケーブルそのものが電装系の筐体から分離します。
(この部分を無理に外す必要はありませんが、外すことで電源ケーブル自体と、電装系のケースの清掃がやりやすくなります)
これで、電装系の取り外しは完了です。
ここまでの段階で、外せるパーツは、ほぼすべて外したことになり、エアコンを清掃するための分解作業は、これで完了となります。
ここまで長かったですが、この段階で、「これは、どの場所にどの向きで付いていた、何のパーツ」と言えなければ、組み付け時に苦労することになります。
分解時に、取り外すことで精一杯だと、そうなりがちです。
外すことだけを考えるのではなく…、
「取付時はこの向きで、下面を先に合わせ、後から上側の爪を嵌めるんだな」という具合に、取り外し時に、取り付け作業のことまで思い巡らせるのが肝心です。
ネジやボルト、細かな形状のパーツ類は、散逸しないように、適切な容器もしくはパーツトレイに入れておきましょう。
ここではネジ類を一つにまとめてカップに入れていますが、できればそれぞれのネジが、何のパーツの固定ネジなのか、判るようにタグを付けたり、小さなビニール袋に分けて付箋するなどしておきたいものです。
家電製品の固定ネジは、径とピッチが同じで、一見同じ様に見えても、微妙に長さが異なる場合があります。
分解作業に慣れていない人ほど、「今外したネジが、何のネジなのか」あとで判るようにしておきましょう。
(ネジを外した順番に並べておくのも一つの方法です。ただ、どの順番で外したのかを、覚えておく必要があります。
「大丈夫、こんなの忘れるわけがない」という人ほど、後で「あれ、どうだったっけ?」と言うものです。
「忘れないだろうけど、念のために、スマホで画像撮影しておこう」という気持ちで望むと、いろいろと失敗しにくいものです。
ボイスメモ、手書きのイラスト・覚え書きなども、非常に有用です。
(重要なのは、自分の記憶力を過信しないことです)
これは一つの例ですが、上の画像には切って外した結束バンドが保管されています。
再利用はしませんので、外した時点で捨てて構わないものです。
なぜわざわざ保管してるかと言うと、組み付ける際に、「結束バンドで固定されている箇所があった」ということを、忘れずにいるためであり、
同時に、「純正使用の結束バンドは、この太さのものだった」ということを、実物で把握するためでもあります。
(うっかり捨てると、固定そのものを忘れたり、最適な太さの選択に不要な時間を使ったりすることがあります)
電装系を外すのは面倒ですが、一旦外して別の場所で保管してしまえば、コンデンサー洗浄の際に水がかかってしまう可能性が完全に無くなります。
また、電装系を外すことで、コンデンサーの端に取り付けられている温度センサーやカバーも外すことができますので、コンデンサー全体をしっかり洗浄することが可能になります。
筆者はこのように、電装系を外す方法を選択しましたが、これを外さずに『養生作業』における防水を入念に行い、水の侵入を防ぐのも、一つの手段です。
そちらの方が手間がかからず、時間の短縮になりますが、外せるものは外した方が、より丁寧かつ確実に、隅の方まで洗浄することが可能となります。
電装系を外さずに洗浄する場合
電装系に水がかからないよう、ビニールシート等できっちりと養生し、テープ等で隙間を塞いで密閉しましょう。
もちろんその場合でも「水は、どこか気づかない隙間から侵入する可能性もある」ということを念頭に置いておきましょう。
モーターハウジングの合わせ目、ファンの軸受の穴などは、奥まって見えないくため、見落としがちな部分です。
ここもテープを貼るなどして、シールしておきましょう。
(筆者はこれを怠ったので、何箇所かに水が溜まり、キッチンペーパーで吸い取って処理する羽目になりました)
洗浄後は養生を剥がし、水の飛沫がかかっていないか、目視でよく確認します。
(とは言っても、電装基盤はケースに覆われていることが多く、基盤に水が付着しているかどうかまでは、ケースを開けてみなければ判らないことも多いです)
電源ケーブルを繋ぐのは、できれば1日以上おいてからにしましょう。
(万全を期して、細かい部分に残った水分が、完全に蒸発するまで待ちたいところです)
なお、電装系を外さずに洗浄する場合でも、コンデンサーのアース線と、温度プローブは、コンデンサーから外しておきましょう。
(難しい作業ではありませんし、付けたまま洗浄すると、接点や管の中に水が残りやすい箇所でもあります)
水濡れに起因する電装系トラブルについて
水濡れや水没、結露等、水分の付着で電装系が故障するのは、『濡れたから』ではありません。
濡れた状態で電源を投入した結果、通電と同時にショート(短絡)が発生し、電子部品に想定を超えた過剰な電圧がかかって壊れるのです。
スマホの水没もそうですが、濡れた状態で通電せずに、完全に乾燥するまで待ってから電源を入れれば、故障する可能性は極めて低くなります。
(完全乾燥しても復旧しないのであれば、それは電源投入状態で水没し、その時点で既に短絡が発生したためと思われます)
そもそも、基盤、抵抗、ICチップ、コンデンサー等の電子部品は、密閉構造になっており、単体では水濡れに強いものです。
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