沢登り体験記(さまん谷)


沢登り(大分県、奥岳川源流・川上渓谷)

沢登り

川上渓谷の「さまん谷」で、沢登りを体験してきました

位置的には大分県になりますが、宮崎県と熊本県の県境付近でもあります
九州の中でも最も山深いところであり、九州屈指の清流と呼ばれる奥岳川の最上流部にあたります

この川上渓谷にはいくつかの枝沢がありますが、中でもアプローチしやすく初心者向きといわれる「さまん谷」が、今回登る沢となります

コンパクトな中にも様々なバリエーションを楽しむことができ、適切なサポートがあれば沢登り初心者でも充分に楽しめる沢でした

今回の沢登りは、グランピングでもお世話になった、ゴーアドさん主催の沢登りイベントに参加する形で入沢しています

わたしは、山の経験はそれなりですが、どちらかというと足だけで登れる長大なルートの方が好みです
そのため、リードクライミングや外岩の経験はありません。沢登りは、今回が初めてです
そういう意味では「初心者」ではありますが、様々なサポートのおかげで、気持ちよく楽しめる沢登りとなりました


「沢登り体験記」 目次
  1. 尾平登山口より入山

  2. さまん谷に入る

  3. 小滝と釜の連続

  4. 高巻き

  5. ゴルジュとチョックストーン

  6. 滑床

  7. 沢靴(ラバーとフェルト)

  8. 「さまん谷」沢登りの感想


尾平登山口より入山

沢登り・入山

祖母山の東に位置する「尾平登山口」より入山します(9時13分)
この場所から見上げる山並みは、空を切り裂くように屹立していて、いつ見ても印象的です

右側の高い山が祖母山で、中央左よりの突き出たピークが天狗岩
その左側の三角錐型のピークは烏帽子岩です

沢登り・橋

吊り橋のたもとまできました(9時21分)
ここから沢に入るパターンもあるようですが、わたしたちのパーティは、ここから3~4分ほど山道を登ってから沢に入りました

さまん谷に入る

沢登り

岩がゴロゴロしている間を、縫うように進みます

小滝と釜の連続

沢登り・釜

最初の滝に到着しました(9時39分)
高さは4~5mほどでしょうか?

左側の滝となっている部分は、ホールドになりそうな手掛かりがなく、取りつけそうにありません
中央のあたりは、若干オーバーハングしているありさまです

右奥の方で、「どう登るのがベストか?」と、リーダーとサブリーダーが相談しています
その一方で、釜にザブンと入って水と戯れているのはNさんです(笑)

沢登り・登攀

リーダーがロープを引いて、トップで登ります

ここは、岩の下部がえぐれているため、最初の取りつきで苦労するところです

取りつきさえできれば、あとはクラックに指を突っ込みながら、ソールのフリクションを効かせて登っていくことができます
ラバー系ソールは花崗岩の岩肌との相性が良く、グリップが効くため、わたしのような初心者でも滑らずに登ることができました

何も見ずに、初見で登れと言われたら、わたしの場合はまず無理だと思います
リーダーをはじめ、経験者の方々の登る様子(ホールドの位置や、足を置く場所など)をよく見て、それを真似たおかげで登れたようなものです

淵から上がって岩に取りつく部分は、サブリーダーが流木を立てかけ、踏み台にできるよう支えてくれたおかげで、さほど苦労せずに這い上がることができました
サブリーダーのHさん、ありがとう、ありがとう

沢登り・さまん谷

ここからは、花崗岩が削られてできた、小さな滝が連続します

ポットホール状の小さな釜に、「シュワァー」と爽やかな音を立てながら清流が流れ落ちていきます
その中を我々は、水しぶきを上げながら、ずんずんと進んでいきます

何と気持ちがよいのでしょう

沢登り・ビレイ

ちょっと嫌らしい箇所が出てきました(9時59分)
陽が当たりにくい箇所のため、岩肌表面に薄く苔が生えており、思うようにグリップが効きません

この箇所は、ホールドとなっているクラックから手を離し、手前の水溜まりを目指して滑り落ちれば大丈夫なのですが、「それでOK」と気づくまでは、「どうやっても滑りそうだし、どうしたものか?」と悩むところです

どうしても、「滑ったらダメ」、「落ちてはいかん」という先入観があるものですから、ついつい逡巡してしまうのですが、柔軟に考えることも必要ですね

沢登り・さまん谷

上の画像を、さらに登ったところから撮影したものです

青々とした透明感のある水の流れと、山の緑、滑らかに削られた花崗岩の岩肌

何というかその、きれいですね。美しいですね
それしか言葉が出てきません

高巻き

沢登り

滝の落ち口が滑らかで垂直に近く、登りにくい箇所が出てきました(10時35分)

ここは左側を高巻きします
リーダーがロープを張るために先行します

沢登り・高巻き

万一滑り落ちても釜にドボンで済むため、危険度は低いですが、ロープにヌンチャク(クイックドロー)を通し、安全確保をしながら登っていきます
日陰になっている箇所は苔が生えているため、静かに足を置いて、静荷重・静移動でスススと進みます

沢登り・淵

深い青色を湛えた美しい淵が出てきました(10時42分)

奥に見える斜めの滝は、クラックを利用して登れないこともないらしいのですが、よく見ると上部に苔が密生している部分も多く、滑りやすそうでもあります

リーダー判断で、左側を高巻くこととなりました

沢登り・高巻き

高巻きしているところです
画像が部分的にぼやけているのは、レンズに水の膜が張っているためです

沢登りにカメラを持ち込む場合は、たいてい防水カメラか、防水カバーを付けたスマホになると思いますが、きれいな写真を撮りたければ、たとえ防水仕様であったとしても、カメラやレンズを極力濡らさないことです

身に着ける場所(カメラの収納位置)を身体の上の方にするだけで、カメラが濡れる回数がぐっと少なくなり、水滴の写り込みや水膜によるぼやけを減らすことができます

沢登り

さんさんと陽が降り注ぎ、木洩れ日が岩肌を美しく彩ります

右下のKさんは、クロロプレンゴムの沢登り用上下を着こんでいたので、少し暑くなったのでしょう。 沢水にどぶんと浸かって、身体を冷やしています

この日は、水温と気温のバランスが丁度よかったのか、わたしとしては暑さも寒さも感じず、丁度よい塩梅でした
(高巻きで温まった身体が、ゴルジュ泳ぎや水中歩きで適度に冷やされる感じです)

一方では、やや薄着のために寒さを感じた方もおられたようで、途中で衣類を一枚重ね、対応していました

沢登り

天然のウォータースライダーのようですね(11時14分)

足元をはじける水しぶきが、実に爽やかです
沢を落ちる水の音と、蝉の声だけが耳に届いてきます

登っている時は、いい意味で集中しますので、手元や足元ばかりに視線をやりがちなのですが、足場の安定したところでふと振り返って見渡すと、それはそれは美しい水の景色が広がっていたりします

ゴルジュとチョックストーン

沢登り・チョックストーン

印象的なチョックストーンが出てきました(11時17分)
手前側は、美しい回廊のような直線状のゴルジュになっています

滝の流れはチョックストーン後方に落ち込んでおり、岩の後ろ側では水がドバドバと流れ落ちています

さて、どうしたものか?
外岩の経験がなく、沢登り初心者のわたしには、ここをどうやって突破するものか、皆目見当が付きません

幸いなことに、ゴルジュ部分の水の流れはゆったりとしており、「水泳強化用流水路」のようにはなっていません(泳いだら、それなりに前に進みそうです)

沢登り・ビレイ

先ほどの画像の、右上部から撮影した画像がこちらです
岩の手前の右側から、オポジション(突っ張り)で身体を支えて取りつきます

水の中から壁面に取りつく部分が難しいですが、それさえこなせば岩の横までたどり着き、一休みできます
あとは、ロープとソールのフリクションを頼りに、滝上まで登ります

ゴルジュの中を、ダイナミックな平泳ぎで進んでいるのはミスター・イエーガー、さすがは水泳部上がりのアイアンマンです

滝上からはリーダーがビレイを行い、チョックストーンの右横でサブリーダーがサポート、さらに岩の下ではもう一人がサポートしています

全員が登りきるまで、岩の下で水に浸かりながら、取りつき時のショルダーを続けたKさんは、クロロプレン衣類で上下を固めていたとはいえ、さぞかし身体が冷えたと思います(前の前の画像で、水に使っていた方です)

ゴーアドのサポート隊の皆様、ありがとうございます

沢登り・ゴルジュ

またまた、美しい淵が出てきました

花崗岩主体の沢は、白い岩肌が滑らかに浸食されるため、格別な美しさがあります

祖母・傾の山々は、これまで何度か登ったこともあり、夏は雄大な岩々、冬は美しい霧氷に魅了されてきました
ですが、こと渓流に関しては、指をくわえて見ているだけでした

それが今、目の前に…、というよりもその真っ只中に居るのです
水に足を浸しているだけで、心が洗われていくようです。 素晴らしい清流です

沢登り・突っ張り

隘路に挟まっている流木を足場に、滑らないよう注意しながら登っていきます(11時57分)

リーダーが上の方で「突っ張り」をしながら登っています

それを見ながら、「なるほど、あそこはああやって登ればいいのか…」と頷きながら、後をついていきます

沢登り

難しいところばかりでもありません
緩やかで、さくさくと歩けるところも出てきます

緊張を少し緩めて、楽しみながら登ります

沢登り・滝

再び、美しい淵と滝が出てきました(12時05分)
ですがここは、登るのが難しそうです

雲が晴れて太陽が照りだすと、陽光が水底まで差し込み、きれいな青色に輝きます

美しい水の流れを、ただただ眺めていた気持ちにもなりますが、左側を高巻いて先に進みます

沢登り・休憩

開けた花崗岩スラブの場所に出ました(12時15分)
休憩に丁度良い場所でしたので、集合写真を撮影し、軽く食事を取りました
レンズに水滴がついてますね。前述した通り、たとえ防水でもカメラは濡らさない方が良いです

滑床

沢登り・滑床

沢が広々と平らになり、滑床の様相を見せてきました

歩きやすく開放感があり、これまでの緊張感も和らぎます
歩いていて、実に気持ちがよいです

沢登り

前方に砂防ダムが見えてきました(12時35分)
ここまでくると、「さまん谷」の沢登りの終点です

砂防ダムの右手を登っていけば、林道に到達し、そこから登山道を経由して、元の場所まで下山することができます

おつかれさまでした。
サポートと安全確保に尽力いただいたゴーアドの皆様、ありがとうございます

沢靴(ラバーとフェルト)

沢靴

今回参加した皆さんの沢靴一覧です

A:モンベル サワークライマー(アクアグリッパー)
B:Vasque Lotic Water Shoe(イドログリップ)
C:FIVE TEN キャニオニア3(ステルスラバー)
D:モンベル サワートレッカー(フェルトソール)
E:福山ゴム 親方寅さん#6(天然ゴム・ロール底)
F:adidas TERREX HYDRO LACE BOOTS(ステルスラバー)

ラバー系のソールが、花崗岩が主体の「さまん谷」に最もフィットしていました
ゴーアドの方も事前説明で「この沢にはラバー系の沢靴がフィットする。フェルトよりも相性が良い」とおっしゃってました
実際登ってみるとその通りで、アクアグリッパーソールは確かなフリクション、安定して登れました

ファイブ-テンでの実績のあるステルスラバーや、ビブラム社のイドログリップも、水場で高いグリップ性能を発揮し、リーダーとサブリーダーは、キャニオニア3でスルスルと登っていました

苔やヌメリのある箇所では、フェルト系ソールの相性が良いようですが、花崗岩主体の「さまん谷」では、ラバー系ソールが合っており、フェルトソールで参加したIさんは、「けっこう滑る(サワークライマーが羨ましい)」と言っていました

また、今回「親方寅さん」という地下足袋シューズで参加したミスター・イエーガーは、「すっごい滑るよ!」と、桜庭和志的な発言を繰り返し(動画参照)
その日のうちにモンベルショップに直行し、サイズの合うサワークライマーを取り寄せたそうです

「さまん谷」沢登りの感想

  • 花崗岩主体の滑らかな岩肌、沢の景観が実に美しい
  • フリーで登るに適した小滝と、美しい小釜多し
  • 緩やかで楽に泳げ、突破しやすいゴルジュ
  • 印象的なチョックストーン
  • 高巻き時でも藪漕ぎなし
  • 駐車場から入沢までの歩行距離が長くない
  • 終点に砂防ダムがあり、判りやすい
  • 沢を登り終えた後に、林道と登山道を利用して歩いて下山できる
  • 有料駐車場有、入山場所にトイレ有
  • アクセスは決して良くない(細い山道を自動車で延々)
  • 沢登り初心者でも遡行可能なものの、熟練者の同行と安全確保、サポートは必須
どちらかというと、川幅や水量の大きな沢ではありません
ゴウゴウと音を立てる、迫力のある流れというよりも、「シュワァー」と爽やかな水音が印象的です

当日の水量は中程度、もしくはやや少なめといった感じでした

日時と時間のデータ

年月:2020年8月9日

タイム
  • 09時13分 入山
  • 09時21分 吊り橋
  • 09時39分 最初の滝
  • 11時17分 チョックストーン
  • 12時15分 休憩
  • 12時35分 砂防ダム着
  • 13時05分 吊り橋まで戻る

関係先ホームページ、リンク

Go Adventure Unlimited

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